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「インプラントをしたかったのに、骨が薄くて難しいと言われてしまった」
そんなご相談を受けることは珍しくありません。
特に 上の奥歯は、もともとの骨の厚みが足りないことが多く、骨が薄い状態ではインプラントを支えることができません。
その“骨不足”の問題を解決し、インプラントをしっかり固定できるようにするための治療が サイナスリフト(上顎洞底挙上術) です。
名前だけ聞くと難しそうですが、仕組みを知れば「なるほど、そういうことだったのか」と理解していただけます。
◇ 上顎の奥歯はなぜ骨が薄くなりやすいの?
上の奥歯の上には「上顎洞(じょうがくどう)」という空洞が広がっています。
風邪や鼻炎で“副鼻腔(ふくびくう)”が炎症を起こすという話を耳にすることがありますが、
その空洞のひとつが上顎洞です。
歯を失うと、噛む刺激が骨に伝わらなくなるため、骨はだんだん痩せていきます。
さらに上顎洞は年齢とともに少しずつ広がっていくため、歯を失った部分の骨が下へ下がり、
結果として骨がどんどん薄くなってしまうのです。
そのため、
- 歯を失ってから時間が経っている
- もともと鼻炎があった
- 中高年以降で骨量が低下している
といった場合は、特に骨が不足しやすくなります。

◇ サイナスリフトの目的と仕組み
サイナスリフトは、上顎洞の底の部分(洞底)を“少し持ち上げる”ことで、骨をつくるスペースを確保し、
その部分に骨補填材(人工の骨や自家骨)を入れて骨を増やす治療です。
手術の流れ
- 歯ぐきをめくり、骨の側面から小さな窓をつくる
- 上顎洞の粘膜(シュナイダー膜)を慎重に持ち上げる
- できた空間に骨補填材を入れる
- 歯ぐきを閉じて治癒を待つ

サイナスリフトは、上顎洞の中に“新しい骨の部屋をつくる”ようなイメージです。
その後、骨がしっかり固まるまで 6〜9ヶ月 かけてゆっくり再生していきます。
◇ サイナスリフトとソケットリフトの違い
上顎の骨を作る方法には、もう一つ「ソケットリフト」という治療もあります。
| サイナスリフト | ソケットリフト | |
|---|---|---|
| アプローチ | 横から | インプラントを入れる穴から |
| 骨の増やせる量 | 多い(5mm以上) | 少なめ(3〜4mm) |
| 適応 | 骨が大きく不足している時 | 骨がやや足りない時 |
骨が極端に薄い場合はソケットリフトでは対応できず、サイナスリフトが必要になります。
◇ サイナスリフトで注意が必要な点
どんな手術にもリスクがあるように、サイナスリフトにも注意点があります。
1. 上顎洞粘膜の破れ(膜穿孔)
最も多い合併症です。
粘膜が薄い方は破れやすいため、慎重な操作が必要になります。
破れた場合は、膜を修復して治癒を待ってからインプラントへ進むこともあります。
2. 術後の腫れや痛み
数日〜1週間程度で落ち着くことがほとんどですが、個人差があります。
3. 上顎洞炎(副鼻腔炎)
まれですが、術後に細菌が入り込むと炎症を起こすことがあります。
衛生管理や術前のCT診断がとても重要です。

◇ どんな方にサイナスリフトが必要?
次のような方はサイナスリフトによってインプラント治療が可能になる場合が多いです。
- 上顎の骨が非常に薄いと言われた
- 奥歯を失ってかなり時間が経っている
- 他院で「インプラントは無理」と診断された
- 複数本のインプラントが必要
「骨がないからインプラントは無理」と一度言われた経験のある方でも、
CTを撮影するとサイナスリフトで治療できるケースが多くあります。
◇ サイナスリフトのメリット
● インプラントの長期安定につながる
しっかりした骨を作ることで、インプラントの寿命や安定性が向上します。
● 天然歯に近い噛み心地を得られる
奥歯は噛む力の中心。しっかり噛めることは食事の満足感にも直結します。
● 入れ歯では難しい食事も可能に
硬いものをしっかり噛めるようになり、食の楽しさが広がります。

◇ まとめ
サイナスリフトは、上顎の骨が不足していてもインプラント治療をあきらめなくてよい、とても心強い治療です。
「骨がないと言われた」「インプラントをしたいけれど難しいと言われた」という方でも、
適切な診断と治療によってインプラントが可能になるケースはたくさんあります。
不安なことがあればいつでもご相談ください。
CTを用いた精密な検査で、あなたにとって最適な治療方法をご提案いたします。

